実家の匂い

帰省するたびに感じるのが、私の実家の匂いである。


幼なじみに匂いがあるよ、と言われていたけれど、私には何も匂わなかったし、私も幼なじみの家にその子の家なりの匂いがあると感じていた。


実家を離れ、家に着くと、「あ、このことだったんだ」と分かった。


馴れ親しみすぎると盲目になり、少し離れるとやっと見えて来る、そういったものが家の匂いというものだろう。


私は実家の心的距離が離れたわけではないが、今後この匂いを強く感じていくようになった場合、私は外の生活に溶け込んでいっているということなのだ。